M!LK メジャーデビューシングル「Ribbon」感想~好スタートを切った良作です~
11月24日、M!LKがビクターエンタテインメントからメジャーデビューし、通算12枚目のシングルとなる「Ribbon」をリリースしました。
この日は結成記念日でもあり、2014年11月24日に結成したM!LKは、この日で活動7周年を迎えました。
7年という長い間活動してきて、メンバーの入れ替わりもあり、様々なことがあったM!LK。そんな彼らがついにメジャーデビューの機会を得て、このような記念すべき日にCDを出せたのは、とても幸運なことだと思います。
これからも大事にされていくであろう今回の作品について、今日は語っていきたいと思います。
まずは、今回リリースされた曲がどんなものか、少し触れたいと思います。
1つ目は、表題曲である「Ribbon」。
2つ目は、通常盤のカップリング曲として収録された「夜明け」。
3つ目は、初回限定盤のカップリング曲として収録された「夢路」。
この3つです。
初回限定盤はAタイプとBタイプの2種類がありましたが、CDの内容は両方同じ。
ここで少し批判的なことを言ってしまうと、どうせならカップリング曲ももう1つ作ってほしかった。
私はBlu-ray目当てでAもBも両方買いましたが、どうせならCDの中身が違うからという理由で買いたかったですね…今までシングル出したらカップリング曲3曲がデフォルトだったわけだし。
ただ、レーベルが変わったので方針も今までとは違うでしょうし、慣れるしかないのかな、とも思います。このあたりは個人的に思った小さなマイナスポイントなので、これ以上深くは語りません。
ないものをねだっても仕方ないので、実際に出された3曲を聴いた印象を語ると、全体的に真面目路線で固められています。
トンチキ曲というトンチキ曲がない。M!LKって基本的にシングルを出せば1曲はトンチキ曲が混じっていることがほとんどなので、これに関しては物足りなさを感じる人もいたのではないかと思います。
しかし、M!LKって「新たなスタート」を切る時の作品は真面目路線で固められてることが多い印象もあるんですよね。
7人体制初の作品である8thシングル「Over The Storm」は、今までになくクールな曲が多く、明るい曲である「ハロー!」もトンチキ曲と言える曲ではありませんでしたし、
現体制になって初めて出したCD、3rdアルバム「Juvenilizm-青春主義-」も、全体的にしっとりとした雰囲気の曲が多めでトンチキ曲というトンチキ曲は収録されていなかったと思います。
これに関しては賛否両論あるかも、と思います。
イロモノで売ってしまうとそのイメージが強くなって後々辛くなるだろうし、とも思うし、でも少しは奇をてらわないと注目してもらえないだろ、とも思うし…
私の中でも少し葛藤があります。
でも、今回は真面目に行きたかったんだろうな、というのもわかるし、こう来るのはある意味予想通りでもありました。
意外に曲調はそこまで似たり寄ったりでもないし、思ってたよりは面白い作品だったと思います。
この後から、各曲についてもう少し深く掘り下げ、詳しく感想を語りたいと思います。
まずは表題曲「Ribbon」について。
これは、8月25日にM!LKの公式YouTubeチャンネルで行われた配信ライブで初披露された曲です。
そのときに聴いたときから思っていましたが…とにかく音が綺麗。これがメジャークオリティーか…!(偏見)
今までもサウンドがいいなと思える曲はありましたが、この曲は断トツでいいかもしれない。M!LKの「美しさ」を音だけでも表現できていると思います。何度でも聴きたくなるような、耳障りの良い音楽ですよね。
歌詞のほうはというと、一見するとよくある王道恋愛ソングの歌詞であり、あまり面白みを感じない人もいるかもしれません。しかし、この歌詞は歌い手と相手の繋がりを強く望む描写や、「君が大好きな今をずっとずっと守りたい」といった表現があり、これはM!LKのファンに対する想いを歌った歌詞とも取れます。
M!LKは、今までにメンバーの入れ替えを何度か経験しており、そのたびに辛い思いを自分たちもしてきただろうし、ファンにもさせてしまったと憂いているところがあることを、ファンである私たちはよく知っています。そんな彼らが歌うからこそ、彼らが本気の恋愛をしているかどうかにかかわらず、本心で歌っているように聴こえるんですよね。だからすごく刺さる。
そういった歌詞の奥深さから生まれるエモさもいいし、愛の繋がりを「Ribbon」で表現したのもお洒落。そういえば、この曲の作詞はM!LKの音楽家さんとしてお馴染みの、しかし結構ご無沙汰である*2園田健太郎さんなんですよね。CDの歌詞カードを見て園田さんの名前を見た時、園田さんがやっと帰ってきた…!と思って嬉しかったし、今まで数多くのM!LKの神曲を手掛けてくださっただけあって、さすがでした。
また、上にも出したMVもこれまた素晴らしい。これについてはこれだけで多くを語れそうなので、また別の記事で感想を書きたいと思います。
※追記 MVについての解釈記事を上げました。↓
次に、カップリング曲「夜明け」について。
「Ribbon」とは打って変わって、やや激しめの疾走感ロック。
疾走感ロックといえば、最近アルバム発売に先駆けて公開された原因は自分にある。の「黄昏よりも早く疾走れ」を思い出しますが、あれを最近聴いた上で聴いたからか、個人的にM!LKの声質の独自性を強く感じた曲でもあります*3。特に歌い出しも担当している塩﨑太智くんの声はM!LKの宝ですね。彼のような声変わり後も高めで可愛らしい声を保っている声は、他のEBiDANグループや研究生を見てもなかなかいません*4。彼を見ていると、単純な歌唱力だけではなく、声質も考慮してこれからのグループを作ってほしいとEBiDANの運営には願いたくなりますね。歌唱力は努力でどうにかなりますが、声質はそうはいかないので。
曲のほうの話に戻ります。「Ribbon」が少女漫画の王子様が歌う曲だとしたら、この曲は少年漫画の主人公が歌う曲という感じですね。ひたすら青春を感じます。これだけ雰囲気が真逆でも、ちゃんとM!LKだ、と思えるのもすごい。
歌詞の内容には、「今までいろいろなことがあった中で、メジャーデビューというスタートを切った今、これから何があろうとも走り続けるぜ」というような決意が現れています。「ほろ苦いコーヒーと決意を飲み干したら行こう」という表現も洒落ています。「コーヒーが飲めません」という曲でインディーズデビューしたM!LKが、メジャーデビューした今はその「コーヒーを飲み干して出発だ!」だなんて…M!LKの成長を表しているようです。
途中の吉田仁人くんと曽野舜太くんによるフェイクも聴きごたえがありますし、メンバーの成長を感じられつつも、でも今も青春真っただ中っていうのがエモいですよね。アイドルって見てるだけで笑顔になれる存在だと思うんですが、現代社会の中で疲れているときに癒しになるものって、やっぱり青春感だと思うんですよね。それを大事にしてくれているのがまた、嬉しい。
そんなに奇をてらった曲ではないけど、とても心に残る良い作品でした。
最後に、カップリング曲「夢路」について。
雰囲気としては、「Ribbon」と「夜明け」のちょうど間を取ったような曲。ロックとは違う気もしますが、生バンド曲でしょうか?様々な楽器の音が響き合っていますが、ピアノとベースの音が個人的に特に好きです。
また、この曲の歌詞はメンバー自身が作詞しており、「Ribbon」や「夜明け」以上に彼らの率直な想いが彼ら自身の言葉で表現されているのもポイント。「Ribbon」が「恋愛」をテーマとして、「夜明け」が「青春」をテーマとして作られた曲とするならば、この「夢路」のテーマは「夢と絆」ではないでしょうか。
M!LKはメンバー共通の夢として「ドームツアー」や「紅白出場、そして司会を担当」というものを度々掲げていますが、この曲はそういった「夢」を叶えることで初めて完成する曲だ、とはメンバー談。たしかに、そういった場で歌われると「ちゃんと夢叶えたよ!」というメッセージにも聴こえる歌詞かもしれません。
また、その夢を叶えるためにはメンバーの団結や、裏方スタッフの支援、ファンの応援が必要不可欠。そういった「絆」を大切にしようということも歌われており、メンバーの入れ替えを何度か繰り返しているM!LKが歌うからこそ重みが増すものです。
「Ribbon」や「夜明け」と比べると比喩的な表現も少なく、いちばんストンと胸に落ちてくる歌詞かもしれません。あまりM!LKを知らない人からすると刺さらないかもしれませんが、今までM!LKを長く応援してきたファンにはよく刺さる、カップリング曲として最高の曲であるように思います。そういったシングルとしてのバランスの良さも感じられる良作でした。
総括すると、スタートダッシュとして出した作品として見ても、すごく良い作品だったなと思いました。
これだけで急に大バズりということは確率としては低いと思いますが、これからが楽しみになる作品だったし、その「これから」に期待したい。
ある程度今のレーベルでの活動が板についてきたら、トンチキ曲も出し始めてみてほしいですね。すでに今のレーベルでのYouTube企画ではトンチキっぷり発揮してるし、きっといつかはやってくれると思います↓
改めて、メジャーデビューおめでとうございます。
M!LKのこれからの活躍を、素晴らしい作品をリリースし続けてくれることを、期待しています。