アルバムって難しいなと思った話。〜原因は自分にある。 1stアルバム「多世界解釈」感想〜
1月13日、原因は自分にある。が1stアルバム「多世界解釈」を発売しました。
2019年10月9日にデビューシングルを発売して以来、数々の曲を出してきた原因は自分にある。が、待望のアルバムをリリース。
11曲中7曲*1はすでに音源やライブでの披露で出された曲だったのもあり、新曲4曲と組み合わせてどんな作品が生まれるのかとても楽しみにしていました。
そして、発売日に早速手に入れて聴いてみたんですが、この作品は良くも悪くもいろんなことを思わせてくる作品でした。
作品として良いか悪いかで言ったら、全体を通して見ると悪くはなかった。
でも、めちゃくちゃ良い!神作品!最高傑作!と絶賛できるかというと、そうでもない。
傑作まではいかない、良作止まりで、悪くはないけど若干面白みに欠ける、といった印象でした。
これに関してはこのアルバムをどのように聴いたかによってもまた感想が変わってくるかもしれないので、前提として「トラックの最初から最後まで通して聴いた」感想を語っていきたいと思います。
まず、1番目の「柘榴」。
この曲はアルバムのトップバッターにしてリード曲に位置づけられた曲ですが、私はこの曲からして正直このアルバムに不安を感じました。
というのも、この曲からして大して面白みがない。アルバムのリード曲ともあろうものが。
とは言っても曲として悪いものではないんです。
原因は自分にある。らしいサウンド、曲調というものは大切にされているなと感じるし、ある意味「安定」を狙って作られた曲。
今までのザ・げんじぶ曲の総まとめ感のある曲で、初めて出すアルバムのトップバッターを飾る曲としては正解だと思いますし、リード曲としてもある意味最適と言える曲かもしれません。
でも、新しさがなさすぎて地味。
今まで出してきた表題曲って、ザ・げんじぶ感は大事にされつつも「お、そう来たか!」と思わせるものが毎回あったと思うんですよ。
特に配信シングルとして出された「嘘から始まる自称系」「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」「幽かな夜の夢」…全部独特なげんじぶ色はありつつも、全く違う系統の曲ですよね。
でもこの「柘榴」にはそういう「お、そう来たか!」というのが全くなかった。何なら今まで出してきたザ・げんじぶ曲を全部足して割ったようにして作られた曲感があり、それ以上でもそれ以下でもない感じ。
そんな曲なので、リード曲ながらアルバムの中でいちばん印象が薄い曲です。*2
この曲を頭に思い浮かべようとすると、この曲は流れてこずこの後に出てくる「In the Nude」のほうが流れます(笑)*3
今までの配信ライブをあまり見ていなくて「In the Nude」を聴き慣れていない人だったらまあまあ新鮮かもしれませんが、しっかりこのグループを追っていて「In the Nude」も聴いていた人だと、あんまり新鮮さはなかったのではないかなと…
まあでも安定のザ・げんじぶ曲ではあったし、音や歌詞の世界観のこだわりもいつもどおり感じられる曲で、リード曲であることからこの印象の薄さはMVの映像でカバーしてくれるのではないかと思って、MVではどんな映像が来るのかすごく期待していたんですよ。
そしたら…
曲以上に内容が薄い。
いやわかるんです。4Kという高画質映像で気合いが入ってるのはわかるし、メンバーのビジュアルの良さがすごくよく出ていて、改めて原因は自分にある。ってすごいグループだなとは思います。
でも逆に言えば、「メンバーのビジュアルがいい」以外の情報が伝わってこない。
高性能カメラで撮るだけ撮ってあとの編集は適当感が否めないんですよ…
ちょっとこれを見ると「このグループの良さをアピールする気ある?」と思ってしまいましたね…
メンバーのビジュアルの良さをアピールしたいんですか?
ここまで独特な楽曲路線をやっておいてその世界観作りは手抜きですか?
これだったら私は個人的に好きじゃないけど「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」のMVのほうがまだマシでしたよ。
これが出た当時は「なんで明るく爽やかな曲でこんなに暗くて湿っぽい映像作るかな…」と思いましたが、原因は自分にある。らしい不思議な世界観はしっかり作り込まれてますしね。
「柘榴」MVは「引き算の美学」とでも思って作られたんですかね…
いや引き算しすぎだから…原因は自分にある。をただのビジュ最強グループにしか見せないのは引いちゃいけないものまで引いてる…
そうでなくてもここまで存在感の薄いリード曲に薄味しかつけないってどうなの…
いやもうすでに曲が存在感薄い時点でダメなのか…
そんな感じでほぼほぼマイナスなことばかり思った曲ですが、悪い曲ではないと思うし、SUPER★DRAGONの2ndアルバムリード曲の「WARNING」を聴いたときみたいに「どうしてこうなった」とまでは思わなかったので、それよりはまだマシなのかな…とも思います。
そういう類のやらかしを恐れてああなったんでしょうかね…でもこの後に出てくる曲たちを聴いていると、悪い曲はなかったし、原因は自分にある。の音楽スタッフさんは変なセンスしている人いないと思うので、その感性をもって全然挑戦してみても良かったと思いますけどね?
そして、「柘榴」が終わった後は「嗜好に関する世論調査」*4「嘘から始まる自称系」*5「In the Nude」と続いていくんですが、この流れが本当に退屈。
「柘榴」から似たようなザ・げんじぶ曲*6が続くのでもう「In the Nude」に差し掛かったあたりで飽きるんです。
たとえるなら野菜の美味しさを自慢にしているレストランでフルコース料理を頼んで、前菜から4つ連続でそのレストランご自慢のサラダを食わされ続けるようなもの。*7
いや、美味しいよ?美味しいんだけども…!ってなるやつです。ここまで連続で出され続けたらさすがに飽きるじゃないですか。
そろそろ違う料理が食べたい…と思ったところで、次の「スノウダンス」でスパイスの効いたサラダ(しかしまだサラダ)が現れます。
これは音の作りが複雑で重厚なことが多い原因は自分にある。の曲としては、最低限の音でそれらしく作る挑戦がなされた新しい曲だと思います。
そういう意味ではよくできた曲だと思うし、このグループの新たな可能性を作った曲なのではないかなと。これこそ「引き算の美学」ですね。
しかし私が「スパイスの効いたサラダ」と言ったのは、やっぱり前までの曲と同じでザ・げんじぶなダークな雰囲気が強い曲であり、たしかに毛色は違うけど「お、この曲は…!」となるほどではない。
そんな感じでアルバムの前半戦はこれといったインパクトもなく、「あー、ここから最後までずっとサラダ食わされ続けるのかな…」なんて、ここまでは思っていました。
次の「夢に唄えば」を聴くまでは。
ここで豪華な肉料理が来ました。
この曲が流れ出した時の衝撃はすごかった。
もう耳に流れ込んできて飛び跳ねて、慌てて曲名確認しましたからね。曲名だけ見た時点ではそこまで期待していなかったんですが、この一瞬の出来事ですぐ私の中で名曲判定が出ました。
というか欲を言えば「スノウダンス」でこういう曲調の曲来てほしかった…ちょっとクリスマスっぽい雰囲気ありません?
アルバムの新曲の中で先行配信された曲だし、先行配信時期的に遅いっちゃ遅いけども、クリスマスコンセプトではないにしてもM!LKの「Milky Snow」とか「リンガベル」みたいな可愛い冬ソング来ないかな〜と思ってたんですよね…アルバムに1〜2曲は可愛い曲ほしいと思ってたので。
それが実際配信された「スノウダンス」を聴いたら可愛さは特にないし、切なめの質素な曲だったので、あ、今回のアルバムあんまり良くないかも…と思ったりもしたんですよね。*8
そしたら全く予想のしていなかった「夢に唄えば」でここまでの名曲が来ると。
これを聴いたところで「あ、このアルバム悪くないぞ」と思い始めました。
ミュージカルっぽい雰囲気の曲で原因は自分にある。としても新しい雰囲気の曲だし、アイドルの曲としても珍しくて面白い。
新しいはずなのに音がお洒落だからでしょうか、すんなりとこれはげんじぶ曲だ、と受け入れられるのもすごいですよね。
ここまでダークな曲が続いてきたから、ここでようやくパッと明るい曲が出てきて気分が盛り上がる、というのもあるかもしれませんが。
今回のアルバムの中でいちばん好きな曲はこの曲です。
最近はウォークマンでプレイリストを作って、M!LKの「リンガベル」とZeBRA☆STARの「ゼブラワールド(2020ver.)」と並べてよく聴いています。ここ最近出た推しグループのお洒落な明るい曲たち(笑)
そうするとこの「夢に唄えば」の音の豪華さは本当に圧倒的で、こういうところはやっぱり他の2グループの曲は敵わないなと感じます。げんじぶサウンドってさすがだなあと。
この後は「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」*9「幽かな夜の夢」*10「原因は自分にある。」*11と既存曲が続いていきますが、
この流れはすごく良かったと思います。
「夢に唄えば」のようなキラキラした曲からザ・げんじぶ曲に繋いでいくとしたら、すんなりと繋ぐことができるのはまず「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」でしょうし、そこから徐々にダークに(つまり原点に)戻っていくこの感じ。
ここで改めてデビュー曲を聴くと、「原因は自分にある。」ってすごい名曲だなと改めて思いました。
今のげんじぶ曲の基盤を作った曲であり、つまりこのアルバムの前半の曲たちの基盤になっている曲のはずなんですが、前半の曲たちを聴いたときほどの退屈さがない。
アルバム前半の曲は「はいはい安定安定」ってなったんですが、この曲は「あー…やっぱり改めて聴くと良い曲だよなあ…」と思ったんですよね。
説明しづらいですが、やっぱりこの曲ってその後に出たダークなザ・げんじぶ曲にない何かを持っていると思います。メロディーのキャッチーさ?サウンドのインパクト?はたまた別のものかもしれませんが、何かが違うような…
そして、アルバムのトリを飾る*12「ネバーエンドロール」が流れたときは
今作品第2の神曲来た、と思いました。
これは野菜の美味しさを自慢にしているレストランが出すサラダならぬ、野菜を使った美味しいデザートだと思いました。
野菜は野菜なんだけど素材の生かし方を新しくした感じ。つまり、ザ・げんじぶ曲感はあるんだけど、その雰囲気を残しつつ表現方法を新しくした感じ。
同じ野菜でも味わいが変わって面白かったし、美味しかったです。
具体的にはアップテンポな明るい曲で、メンバーが曲に合わせて楽しそうに踊っているところが想像できるような曲なのですが、それでいて音階の感じはちゃんとげんじぶ感が残ってるんですよね。
こういう曲って何気になかった気がします。「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」も明るい曲だったけどアップテンポって感じではなかったし。
あとはこのダンスナンバー感…ライブで見てみたい曲ランキング第1位かもしれません。ダンス見てみたくないですか?
このテンポの良さとか、最後のサビで転調してテンションが上る感じとか、本当に好きな要素しかありません。
これをトリにされたら…「良い作品だった」としか言えなくなる。
まあ私は初回限定盤を購入して聴いたので、実際はこのトラックの後に「ラベンダー[仮想げんじぶ空間 Piano ver.]」を聴いてアルバムを一周したんですが、この曲もなかなか良かったですし。何ならオリジナルバージョンのEDMサウンドよりこのピアノサウンドのほうが歌詞の雰囲気に合ってるし、メンバーの声もしっかり堪能できるので好き。
まとめると、前半は聴いてて退屈するような構成だったけど、後半で一気に巻き返しがあって、終わりよければ全てよし理論で良い作品だったと思います。
逆に言えば、全部が全部すごく良かったというわけではなかったということ。
この作品を聴いていて、傑作と言えるほどのアルバムを作るのって難しいんだな…と思いました。
アルバムってシングルに比べると冒険がしにくいCDだとは思います。
冒険と言っても種類や程度がいろいろありますが、ここで言っている冒険は、所謂グループコンセプトの変更になりかねないレベルの冒険。
それを強引にやった例がまさに上でも出したSUPER★DRAGONの2ndアルバムだったと思っていますが、アルバムって基本的に「今までの集大成作品」という意味合いが強いと思うし、普通はそこまでの冒険ってやらないと思うんです。やるようなグループはファンに喧嘩売ってると私は解釈します(笑)*13
実際この「多世界解釈」もそういう冒険はしてないと思います。
まあ冒険はしなくてもいいですが…それにしても挑戦しなさすぎだろ、とこの作品に関しては思いました。安定を狙いすぎてつまらないというパターン。
そもそも原因は自分にある。ってコンセプト的に挑戦しづらいグループではない、むしろ挑戦したほうがいいと思うんですよね。
SUPER★DRAGONなんかは1stアルバム「1st Impact」を聴いていただければわかるように、基本的に音楽路線もガッチガチだったじゃないですか。どんな曲も重低音ありき、ヘビーロックが基本の熱くエモい音楽、みたいな。まあ私はそれが好きだったんですけど。それが好きだったのにわけわからない冒険しだして気持ち悪い曲ばかり出すようになったから降りたんですけど。
でも原因は自分にある。のコンセプトって、音楽的には実はそんなにガッチガチじゃないですよね。
↑のインタビュー記事の中で、杢代和人くんが1stシングル、2ndシングルと続けて出した曲たちが評判が良かったことから「げんじぶはこういうピアノロックでいくんだっていう方向が決まった」と発言していますが、そうだけどそうじゃないだろと私は思いました。
そもそも「原因は自分にある。」のコンセプトって「ピアノロック」じゃありませんよね?
「原因は自分にある。」という変わったグループ名のように、インパクトを与え続ける前衛的なユニットを目指すと言って始動していませんでした?
私はこの「インパクト」というコンセプトを初めて見たとき、すごく良いなと思いました。
「インパクトを与え続ける」という姿勢自体もいいんですが、それ以上にこのコンセプトって良い意味で抽象的だなと思ったんです。
それこそ、M!LKのコンセプトである「変幻自在」もそうです。そしてM!LKがアーティストとして実際そうであるように、やろうと思えばいろんな曲ができるはずなんです。
実際、1stシングル、2ndシングルのカップリング曲を見れば結構いろんな曲やってますよね?
改めてこれらの曲を聴くと、正直全体を通して見た場合、今回のアルバムより今までに出したシングルのほうが曲のバラエティーに富んでいた気すらします…
今回のアルバムにも1曲は「ギミギミラブ」とか「ラベンダー」みたいなEDM入れても良かったんじゃないのかとか、「ジュトゥブ」みたいな可愛いアイドル曲入れても良かったんじゃないのかとか、「時速3km」みたいないかにも大衆受けしそうな王道曲入れても良かったんじゃないのかとか…思ってしまうくらいには今回のアルバムにはザ・げんじぶ曲が多すぎてつまらなかった。
その原因の1つが既存曲の選曲だと思うんですが、全部で10曲*14収録されている中、5曲を占める既存曲は全部今まで出してきたシングル、配信シングルの表題曲、つまり、ザ・げんじぶ曲です。音源化は初めてだけども前からあった「In the Nude」もわりと典型的なザ・げんじぶ曲ですし、それを含めれば6曲もすでにザ・げんじぶ曲が存在する。そしてリード曲として新しく作られた「柘榴」もザ・げんじぶ曲。つまり7曲がザ・げんじぶ曲。あとは残りの3つの新曲で新しさを楽しまなければならない。
そりゃ退屈にもなるわ。
まあ、新曲でも現時点の主軸であるピアノロックに沿った曲として「柘榴」みたいな曲1つは必要だと思いますし、やっぱり入れる既存曲の雰囲気を偏らせすぎたのが良くなかったと思いますね…
前半は特に聴いてて退屈だったので、その中の既存曲である「嗜好に関する世論調査」と「嘘から始まる自称系」は入れなくてもよかったと思います…もしこの2曲の枠を既存曲で埋めるなら、「ギミギミラブ」「Joy to the world」あたりが良さそう。
①「柘榴」→「嗜好に関する世論調査」→「嘘から始まる自称系」→「In the Nude」
②「柘榴」→「ギミギミラブ」→「Joy to the world」→「In the Nude」
上記2つだったら絶対②のほうが飽きもなく楽しく聴けそうだと思いますが…どうでしょうか。*15
こうはしないにしても、もう少し構成とか曲調の比率など、考えてほしかったなあと…
なんでこんなことを思うかというと、原因は自分にある。がグループコンセプト的にいちばんやってはいけないことが、音楽的に聴く人を飽きさせることだと思うんです。
だってインパクトを与え続けるユニットなんですよ?飽きさせるってことはつまりインパクトがなくなってるってことじゃないですか。
デビュー曲でインパクトの強かった「原因は自分にある。」という曲がたまたまダークな雰囲気のピアノロックだったってだけで、飽きられてもなおそのような雰囲気のジャンルに固執するという姿勢はグループコンセプト的に間違っていると思います。
当面の軸とする分にはいいと思いますが、それならそのジャンルで新たな可能性をしっかり切り拓き続けないといけないし、もし限界を感じたらジャンル変更も考えないといけないでしょう。
本来は、常に新しい音楽を探求し続けないといけないグループなんですから。
そういう意味では、今回のアルバムでいちばん原因は自分にある。らしかったのは、「夢に唄えば」だったと思います。
この曲は本当に、デビュー曲の「原因は自分にある。」を聴いたとき以来の衝撃だったかもしれない。*16
ピアノロックを軸としつつも面白いリズム感が目を引いた「ネバーエンドロール」も、「夢に唄えば」ほどのインパクトはなかったけども「おお、なるほどなるほど」となるくらいには面白かったですし。
正直今回のアルバムのリード曲はこの2曲のどちらかのほうが良かったんじゃないかな…と思ってもいます。
「夢に唄えば」は隠れた名曲扱いぐらいがちょうどいいかもしれない。
でも「ネバーエンドロール」は今までの原因は自分にある。らしい雰囲気もありつつ、アップテンポなダンスナンバー感という新しさもあったことから、リード曲にいちばん適していたんじゃないかなと…
MVが作られるとしても結構想像しやすくないですか?サビに入るところで長野凌大くんや武藤潤くんがアップで映されて入りのソロを歌い、そこからカメラが引いていくとメンバー全員で楽しそうに踊っているシーンが映るみたいな…
実際の振り付けはわかりませんけども、曲調的にスピード感があって見てて爽快感のあるダンスだと思うんですよね…
最初は7人別々の場所にいて1サビまではそれぞれの場所で踊り、2番で踊りながら移動し始めて2サビで合流し、全員で踊るみたいな流れを作っても面白いかもしれない。
最後のサビではバックダンサーの方々を後ろにたくさん置いて一緒に踊るっていうのも良さそう。あんまりEBiDANでそういうMVって見たことありませんし、またこのご時世だとそういう人のたくさんいる映像は撮りづらいでしょうが…
でもそういうものを作って推しだしたほうが「お、原因は自分にある。ってこういう作品も作れたのか!」とインパクトは与えられたと思うんですよね…
実際に推された「柘榴」は、「はいはい安定安定」って感じで曲は悪くはないけど弱いし、MVも手抜き感満載の映像でちょっと酷かった。
ここまで書いてきたことと鑑みると、M!LKが今まで出してきたアルバムってリード曲の推し方もアルバム全体のバランスも最高だったんだな…と改めて思います。
特に1stアルバム。それまでのM!LKらしい曲をリード曲にするなら「白黒Brand New World」か
「宇宙ジャンボリー」にしそうなものだったのに*17
実際は「約束」というミドルバラードをリード曲にしていました。
もちろんこういう類の曲を推し出すのは初めてで、しかもMVの作り込みも神でした。ストーリー性のある映画っぽい演技の要素もあり、映像には今まで出したシングルの要素(ダンス、衣装、過去MVのパロディ)を何かしら入れているというギミックも存在し、新しい曲調ながら今までの集大成としても最高の作品です。
また、アルバムの半分(7曲)は既存曲で占められているのですが、今までの表題曲は全ては収録せず、「完全S・S・D!」「反抗期アバンチュール」「夏味ランデブー」といった表題曲は入れずに「Now Story」「逢い」「Milky Snow」といったシングルカップリングの名曲を選出し、上手い具合に並べて収録されていました。
そして、「めちゃモル」や「ゲンキデスカ?」のようなトンチキに振り切った曲や「May」のような非常にかっこいい曲などを新曲として収録し、と、全体のバランスをしっかり考えて作られたアルバムだったのです。
M!LKってすごく柔軟にいろんな音楽を作り、選び、並べて、作品としてしっかりまとめて出してきているんだなと思うし、これって実は結構すごいことなんだなと思いました。
原因は自分にある。に限らず、まだアルバム出したことないけどZeBRA☆STARがいつかアルバム出すときが来た場合、ここまでバランス良くいろんな音楽作って出せるかな?と思うとちょっと想像できませんし。
そう思うと、いいアルバム作るのって難しいんだろうな…とは思います。
でも、原因は自分にある。は「インパクトを与え続けるユニット」という、音楽路線的には抽象的で、かつ挑戦を続けることが求められるコンセプトを持つグループとして、このくらい柔軟にもなってほしい。
何ならM!LK以上にそこは頑張らないといけないと思います。
コンセプトのニュアンス的に、M!LKは「変幻自在にいろんな姿を見せて飽きさせない」グループですが、原因は自分にある。は「常にインパクトを与えて驚かせる」グループなので。
飽きさせないだけじゃなく驚かせるぐらいまで行かないといけませんからね。
「夢に唄えば」「ネバーエンドロール」のような曲が出せるグループなら絶対できると私は思っています。
次に出すアルバムでは、もっと「これは面白い作品だ!」と思わせてくれるようなものを出してくれることを期待しています。
原因は自分にある。の物語を見る私たちに、ぜひ予想もできないようなインパクトのある展開を見せてほしいです。
*1:初回限定盤のみに収録されている「ラベンダー[仮想げんじぶ空間 Piano ver.]」を含む
*2:とりあえずこのアルバムで初めて出た曲の中ではいちばん面白くない曲でしたね
*3:大人っぽい色気のある曲調に、ジャズのリズム感という共通点があるので少しかぶりやすい
*4:2ndシングル表題曲
*5:1つ目の配信シングル曲
*6:所謂技巧的な雰囲気の強いダークなピアノ調の曲
*7:ちょっとあんまりそのあたりの知識ないので下手なたとえですが申し訳ありません
*8:曲名だけ見た時点では「スノウダンス」と「ネバーエンドロール」に可愛い曲を期待していました。外国語をカタカナ表記した曲って可愛らしい曲が多い傾向にあるじゃないですか、原因は自分にある。って
*9:2つ目の配信シングル曲
*10:3つ目の配信シングル曲
*11:1stシングル表題曲
*12:初回限定盤以外では最後のトラック
*13:シングルでやってもそう取るファンはいるでしょうが、せいぜい4曲ぐらいしか出さないシングルでそれをやるか、10〜15曲ほども出すアルバムでそれをやるか、どっちのほうが与える衝撃が大きいかを考えれば明らかに後者ですし、後者のほうが反発も大きくなりやすいと思います
*14:初回限定盤のみに収録されている「ラベンダー[仮想げんじぶ空間 Piano ver.]」を除く
*15:少なくとも、個人的に「ギミギミラブ」をアルバムに入れてない時点でこのアルバムの構成考えた人は何もわかってないと思ったりもしています…
*16:逆に言えばこの後に出た曲の数々はインパクト薄かったってことでもあるんですが…
*17:まあ「宇宙ジャンボリー」は原因は自分にある。でいう「In the Nude」のようなもので、未音源化曲ではありつつアルバム発売発表よりも早くからライブで披露されていた曲であり、そういう意味ではリード曲として売られる可能性は普通に低かったかもしれません。実際、複数タイプ売りされていたアルバムだったのですが、この曲は一部タイプには収録されないという扱いですらありました